我が家のエネルギー消費と脱炭素へ向けて

 地球の温暖化を止めるために二酸化炭素の放出を2050年までにほぼゼロにしなければならないことが世界的に共通に認識されてきており、日本政府も次の第6次エネルギー基本計画の脱炭素電源としての再生可能エネルギーの目標値を2030年22~24%から50~60%へと大幅に引き上げようとしている。10年でそれほど脱炭素比率を高められるか疑問ではあるが、目標自体には賛成である。我が家のエネルギー消費がどうなっているか調べてみる。我が家は2008年に新築した際に老親の調理時の火の取り扱いを避け、給湯や暖房の夜間電力利用による経済性から全て電化することにした。調理・お湯・暖冷房などほとんどのエネルギーが電気となっている。月々の電気使用量は最近の1年では最小359kWh、最大1982kWhである。特に10月から4月の寒季は電気蓄熱式床暖房を使っており、使用量が大きい。これ以外に補助的にエアコンやホットカーペットを使うが、灯油・ガスなどは使わない。化石燃料を冷暖房に使わないとするとどの家庭でも同様の電力消費となるであろう。ざっくりと冬季の月間最大使用量を賄うのに必要な太陽光パネルの容量は1982/(1000/365*30)=24kWとなる。春・秋のもっとも冷暖房の使用が減る月では450kWh程度なのでその時に必要な発電パネルは5.5kWとなる。冬と夏で4倍以上の差がある。太陽光パネルの費用はざっくりとkWあたり30万円とすると夏の需要に合わせて発電パネルをつくると165万円、冬に合わせると720万円となる。年間平均月使用電力は1066kWhなので13kWとなり、その費用は390万円と見積もられる。ここまで太陽光パネル1kw当たり年間発電量1000kWh、費用30万円という概略値をつかっている。冷暖房を電気以外のクリーンエネルギーで賄うことは不可能ではないがたとえば水素エネルギーを検討しているグループがあり、水素が今のプロパンや天然ガスと同様に安く簡単に手に入れば、水素を使う燃料電池で冷暖房を行うことも技術的に可能である。しかし、水素の普及には技術的にも、経済的にも乗り越えるべき障壁は高い。再生可能エネルギーでもっとも利用が進んでいるのが風力発電と太陽光である。風力発電はMW級の大きな設備でないと経済的ではないので、個人の設備対象ではない。太陽光パネルが個人では導入しやすい。年間平均使用電力量を賄うだけの発電パネルを設置して、不足するタイミングで外部電力系統より不足分を購入し、逆に余るタイミングでは余剰分電力を販売するようにすれば、貸し借りでほぼ帳消しになるはずである。通常は売る時は安く、買うときは高くなるので、売電量をやや多めになるように発電パネルを設置すればよい。我が家の場合は13.5kW+の発電パネルを設置すればよい。最近は売電するときにタイミングを調整できる蓄電池の設置が検討されている。余剰な電気を蓄電池に貯めておいて、好きな時間帯に売ったり貸したりすることができる。まだ蓄電池は高いがテスラ社のパワーウォールでは13.5kWh(工事費別)で約109万円である。また、電気自動車のバッテリーを蓄電池として利用できる。新型リーフのバッテリ容量は40kWhである。13kWの太陽光パネルの1時間から3時間程度の発電量をそれぞれ蓄電できる。どれくらいの大きさの容量の蓄電地が必要となるかは運用次第であるが、ドイツでは太陽光パネルと蓄電池をセットで導入すれば、電気料金をかなり安く供給するサービスが普及しており、日本にもいずれ、このようなサービス会社が出てくると思う。

このような電気の運用者は加盟ユーザ間の電力を融通したり、電気の市場で売買することで成り立っている。日本全国で太陽光発電が増え、昼間の需要を上回るようになると市場価格は下がる。そこで冬の昼間では暖房のために蓄熱あるいはお湯にエネルギーを変えておく。夏の昼間では売電するが夕方から夜にかけて電気の需要は高まるので蓄電池に貯めておいて需要に合わせて売電する。今は蓄電池がまだ高いが、新しい電池も研究されており、さらに安くて小型の電池が2050年までには登場して主流となっていく。そして航続距離の短い自動車などは電気自動車、航続距離の長い自動車、船舶などは燃料電池車になると言われている。私の生きている時代には間に合わないだろうが、化石燃料ではなく、再生可能エネルギーを使った全電気の時代を見てみたいものである。(サイト補助者MM)

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