食料の自給

  たまたまNHKで見た番組で地球規模でみると人口爆発が起きており、100億人が十分に満たされる食糧を得るためには現在の肉食など効率の悪い食品では生産が足りなくなり、肉生産のための飼料作物を人間のための食料作物に変え、植物中心の食事に変えるといった世界の食料体制を大きく変える必要性があることを指摘していた。日本ではコメ需要が減り、価格も下がり、コメを作る農業が立ち行かなくなり、高齢化とともにコメつくりをやめる農家が増えている。日本の食料自給率は先進国の中で極めて低いという。人口爆発が起こりつつある近い未来に食料事情は一体、どうなるのだろうか。まず、主食のコメであるが、日本のコメ生産量の推移を次に示す。

農林水産省資料より

現在、800万トン前後であるが、日本人1人当たり1日1合のごはんを食べると年365合、400合で一俵であるから、0.9俵くらいのごはんを食べる。一俵は60㎏だから、800万トンでは800/(0.9*60)*10^7=1.48億人を賄うことができる。1.2億人の人口であるから、余るほどの生産量と言える。
  自分自身、どのくらい穀物を食べているかというと朝はパン、昼は麺か、ごはん、夜は大抵ごはんである。お米1合は約2杯だそうで、日によっては2杯分も食べないかもしれない。だから、1日1合のお米だけでなく、小麦を100g程度はとっていると思う。パスタを茹でるときや素麺、蕎麦は1人前80g~100gを茹でる。だから、小麦の消費量はお米の半分くらいではないかと思うが、ネットで調べると日本人一人当たりの小麦の消費量は小麦粉べースで一人当たり年間31㎏から33㎏だそうである。お米の消費量が日本人一人当たり54㎏くらいなのでおおざっぱには約半分と言える。お米は自給できているので、お米の裏作として小麦などを作れば、お米の半分はとれるだろう。現在の小麦の消費量は600万トン程度でそのうち、日本で生産している量はその1割程度であるが、もし、海外製小麦と競争にならなければ、生産能力はあるのではないだろうか。お米と小麦では適正な農地環境が異なるがおおざっぱに言えば、自給能力はあると言える。もし、海外製小麦が入ってこなければ、つくることは可能であるし、お米をもっとたくさん食べればよいと言える。
  次にどんな食べ物が必要かを考えると味噌や醤油、豆腐、納豆など大豆は必須と考えられる。調べると大豆の消費量は年間400-500万トンでその内食料用は104万トンで豆腐59万トン、味噌・醤油12万トン、納豆12万トン、煮豆・惣菜11万トン、その他8万トンである。年間一人当たり6.5㎏くらいで、自給量は22万トン程度であり、2割程度と言える。大豆は子供の頃、畦豆と言って、水田の畦に植えて、その豆で味噌を作っていたが、日本で栽培しようとするとどの程度、難しいのか不明である。経済効率は悪いが歴史的には実績のある作物なので、自給できるのではないか。
  食糧危機というが、主食のコメが自給できている間は、それなりに農地が維持できていて、小麦や大豆などもお米の裏作や畦を利用しての栽培などを行えば、対応できるのではないかと思う。しかし、近隣の農家の実情を見ると、1ha未満の農地の場合、どんどん廃業しており、だからと言って土地の集約化が進んでいないので耕地は徐々に減っている。そして、政府は個人ではなく、農業法人による大規模農業を支援しており、企業化を図っているように思う。日本の農業は戦後の農地改革で小作農中心から2ha未満の自作農に一気に変わったという歴史があり、稲作技術もそれを前提として発達したが、世界的に見れば、ほとんどの作物で競争力がなく、衰退してきたと考えられる。私は6年間、米国で働いていた時には米国産のお米であった。カリフォルニア米などは国産米と比べても遜色ない味である。だから、本当に市場開放すれば、国内産のお米も危ういだろう。食料安全保障の上からお米を自給できるように農地を維持していく必要はあると思う。その他の作物も農地が維持できていれば、1-2年で対応できるのではないだろうか。海外産よりも高い作物を食べることに国民が納得いくような農業にしなければならないだろう。ここまで肉や魚、野菜については除いて考えたが、肉や魚のない食事はありえないのでまた別の機会に議論しようと思う。(MM)

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